2011年最優秀年賀状デザイン賞はこれ

今年いただいた年賀状の中から選んだ素敵なデザインの年賀状を2枚ご紹介します。

1枚目、実は師走になると彼は白紙の年賀状とデザインに使う材料を持って現れます。彼はデザイナーですが、パソコンを使いません。そこで材料となる資料とデッサンを持ってきてここで僕がパソコンに取り込み印刷するのです。
今年は雑誌の中にあった小さなColemanのランタンの写真が主役です。ランタンの右下に何やらあります。実はウサギの尻尾をイメージしています。「たぶん気づかないよな」と言いながら、そのまま印刷しました。

やはり年賀状とは全くかけ離れたランタンをモチーフに使うあたりに彼のモノへのこだわりを強く感じます。単なるモノの造形美を年賀状という社会的な形式の中に投げ込むことでデザインというものを成立させてしまうあたりに、いつもながら彼のセンスを感じさせてくれます。

こちらは宛名面で遊んでいます。料金別納郵便の文字で目を隠された写真の人物は渦中の人「ウィキリークス主宰者」です。「謹賀新年」も「緊餓疹年」という時代風刺に置き換えられ、下のお年玉くじの番号は反転されていて偽物だという事を告げています。

こちらは知人のモダンアートをやっていらっしゃる方からのものです。ちなみに裏面は「2011年の視界」という彼の作品が描かれていますが、このタイトルが宛名面の内容にまで及んでいるということなのでしょう。

優れたデザインを見るたびに、技術面ではなくこうしたアイデアや仕掛けに「やられた」と思わされます。デザイナーという仕事は「美しさ」を追及するものではなく新しい視点、新しい思考を提供することなのかもしれません。いや、間違いなくそうだと僕は思います。

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