グレン・グールドとバーンスタインの共演はベートーヴェン、ブラームスなどが知らていたが、バッハもあったんですね。1960年の演奏らしいです。この二人の共演には因縁があって、たしかベートーヴェンのピアノ協奏曲で曲の解釈で二人がもめたのか、演奏前にバーンスタインがそれについて説明してから演奏したといういわくつきのものがあります。
二人とも若く自信に満ち溢れ、それぞれ確固たる音楽性を持っていましたが、あからさまに口に出してしまうところがスゴいです。とくにバッハについてはグールドの十八番だったこともあり、グールドは一度もバーンスタインを見ていません。
グールドは口をパクパクさせているので、ひょっとしたらこの時も歌って(うなるように声を出す癖がある)いたのかな。グールドの左手は明らかに右手の方を向いていて、まるで右手を左手が指揮しているようです。これも彼の特徴です。グールドのバッハはいつもメロディアスです。この曲でのピアニッシモは聞こえなくなるのではないかと思えるほどに弱く消えていくように弾かれています。「耳をすまして聞けよ」とでも言っているようです。
実際ピアノという楽器のなかったバッハの時代の鍵盤楽器でのピアノッシモはそんな音量だったのでしょう。グールドは早くにライブ演奏を止めて録音活動に集中しましたが、多くのビデオが残されていたものが次々と現れているのは、うれしい限りです。その中でも最初に買ったレーザーディスク(当時は映像ではこれ1種類しかなかった)で見た映像は素敵だった。カナダにある彼の家での練習風景やら、ニューヨークでのドキュメントを見て「奇人」と呼ばれた彼がとてつもなく身近な存在になったからだ。
Youtubeにもけっこうあるので興味のある人はぜひチェックを♪
http://www.youtube.com/results?search_query=Glenn+Gould&aq=f
●最後の録音となった「バッハ:ゴールドベルグ変奏曲」・・・彼は2度この曲を録音している。どちらも素晴らしいが、僕は圧倒的にこちらの演奏が好きだ。
http://www.youtube.com/watch?v=VjrfTnyFTME&feature=fvst
●先述した自宅での練習風景・・・すごく古くてガタガタのピアノ。モロに歌ってます。ピアノを離れて歌いまた戻って弾き続けています。愛犬がアクビをするくらい弾き続けていたんでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=qB76jxBq_gQ