オーリッドという日本のIT企業が注目を集めている。売上高は40億円規模。法人向けWebサービスを提供していたが、昨年から個人向けサービス「KYBER」を開始した。16日に発売した「KYBER Smartnote」(写真、3冊1500円)は、そのサービスの目玉だ。
見た目はごく普通のノート。メモをしたり、議事録をとったり、普通のノートとして使える。ノートをiPhone付属のカメラで撮影し、KYBERのWebサイトにアップロードすると、画像のデータがクラウドサーバー上で管理される(Androidには10月対応予定)。そこまではこれまでのクラウドサービスにもあったもの。「Evernote」を思い浮かべる人もいるだろう。
だが、話はここからだ。
しばらくすると、手書きのメモが文字データになって送られてくる。いわゆるOCR(画像からの文字起こし)だが、その精度は異様に高い。ほぼ完璧だ。納品までも最速約90秒と異様に速い。OCRはノート1冊あたり29回まで無料で使える。OCRの費用はノート代に入っている。普通なら考えられないサービスだ。なぜそんなことができるのか。
手書きの文字をOCRで判別するのは通常のシステムでは到底困難だ。実はこの文字識別の最終判断を人間がやっているというところがスゴい!それもほとんどを中国で行っている。面白いのは、この中国スタッフが決して日本語堪能ではないという点だ。中国人スタッフはスキャンされた画像の1文字と自動変換された1文字を見比べて「○」か「×」をつけているだけ。日本語が分からなくても見た目の形は分かるから、これなら子供でも出来るということだ。
これを積み上げてシステム化した結果、今回のサービスが誕生したらしい。
Amazonの配送センターでも最後の商品ピックアップは人がやっている。
どんなにオートメーション化しても人間がやったほうが効率が高い部門というのはいつの時代にもあるようだ。ほっとする半面、何も考えないでも出来るような仕事だけが人間に割り当てられていくのかもしれないという恐怖もそこにはある。
これからの人間の立ち位置を地球規模、宇宙規模で考えなければいけない時が、そこまで来ているのかもしれない。産業は社会にとって必要なものだが、産業が人間を必要としない時代は必ずやって来る。
だとしたら、人間は産業に依存して暮らしを組み立てるのではなく、機械が遠く及ばない芸術・文化・スポーツといったものに身を置いて暮らせるよう考えなければならない。しかし、それらに充てられているコストや時間は充分なのだろうか?
一人ひとりが、この事に気づき生き方を変える準備を始めたいものだ。