僕はギター小僧だった事が一度も無いので、これまでジェフ・ベックにほとんど興味を示した事は無かった。
今晩NHK衛星で見ているのは2007年ロンドンのロニー・スコットというJAZZもやるようなクラブでのライブ。のっけからすごいっ!!
若くてかわいいTALという女性ベーシストを含む4人のユニット。登場からリラックスしてにこにこ顔のジェフ・ベックはギターを遊び切る!実に楽しそう。お客も40過ぎがほとんどの大人たち。みんなベックと音楽を通じて楽しんでいる。こんなロックのライブがあるんだー、って感じだね。
まるでハイティーンの女の子のようなTALが実に美しいメロディーでソロを演じると、ジェフは「どーだい、すごいだろー」と両手をかざして彼女を讃える♪ソロが終わるとTALは「どぉ?」って顔でジェフを見る。満足げなジェフはソロを受け継いで、予想できないメロディーと音で音楽を拡げる。
いやはや、スゴイです。ギターとジェフはまさに人馬一体なのです。ジェフの考える音楽世界を100%ギターに乗せてサウンドにしていく。お客はにこにことそれを受け入れる。
わけの分からない音をむやみに出したりはしない。すごくシンプルなのにこの表現力は一体何なんだ!?!全ての音一つ一つが美しく意味を持っている。
ほとんどのフレーズはピックを使わず指で弾いているのも直接ギターに触りたいからだろう。
超絶技巧と複雑なフレーズの曲も腕達者な4人は全くブレる事無く変幻自在に、まるでバラードでもやっているかのようにメロディックに弾ききってしまう。緩急自在百花繚乱!!
チャーリー・ミンガスの曲(グッバイ・ポークハット)も彼にかかれば、まるで普通のブルースだ。「そーそー」とうなずきながら聴き入るオーディエンス。ここではミュージシャンとオーディエンスも人馬一体なのかもしれない。この場所にいたかったなあ、って思わせる。
みんなロンドンに行こうよ。ロニースコットでベックのライブを見ようぜっ!
以前ロンドンに行った時に、僕もライブを見に行ったけど、ぜいたくなスペースと時間があった。ライブはたいてい21:00くらいに始まるから終わるのは24:00近くになってしまう。そー、大人の時間なんだね。
今やネットで簡単に世界中のライブ・スケジュールなんて検索出来る。もちろんチケット予約も出来る。パスポートさえあれば、いつだってこんな素敵なライブに出会えるって訳だ。サッカー1試合のために世界中に応援にかけつける時代だ。同じテンションで音楽に向き合おう!!
ロニースコットでベックが聴けるんならロンドンに行くべきだ!
数年前にジョアン・ジルベルトのライブを見るためだけにN.Yのカーネギーに行った事がある。大好きなジョアンを見れた事はうれしかったけど、カーネギーの客層は決してイイものではなかった。日本でやればずっといいコンサートになるだろうとその時思った。そしてその2年後ジョアンは初来日して、予想通りカーネギーとは比較にならないほど素晴らしい聴衆の前で素晴らしい音楽を再現してくれた。
さてさて。
ジェフ・ベックは年を重ねながら、ますますギター小僧になっている。クラプトンは年を重ねるごとに枯れたものの、未だに自分の音楽の拠り所を見つけられないでいる。
それにしても、アンコールのサプライズでクラプトンが現れ1曲だけ演って帰っちゃう。客席にはジミーペイジ!日本じゃ絶対ムリでしょ。今年は日本でもベック、クラプトンの競演があるらしいけど、武道館かなんかだろうしね。この狭いロニースコットでやっぱり見てみたいもんです。